2022年8月17日付コメントについて

2022年8月17日、当サイトで公開している『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事に”名無し”氏よりコメントが付けられていましたので、こちらの記事でそのコメントについて簡単に論じます。

なお、このサイトに付けられたコメントに対して返信する場合、通常はその記事のコメント欄で論じることにしていますが、文字数が多い記事であったり、コメントの内容が長かったり、コメントへの返信が長くなるケースなどについては新たに記事を作成して返信することにしています。

この点、8月17日に付けられた当該コメントも、記事の文字数が1万字を越えていますし、コメント自体も長いので、このページで新たな記事として論じています。

8月17日に付けられたコメントの内容

前述したように、2022年8月17日に『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事に”名無し”氏よりコメントが付けられていましたが、当該コメントの内容は次のようなものでしたので、以下、順にそのコメントの内容について簡単に論じます。

2022年8月17日に”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事に付けられたコメントの内容

『ア』において、悪意を持って接してくる国はもう存在しています。悪意を持って接してくる国が存在している今現在、すでに憲法9条は効力を発揮しません。北朝鮮や中国やロシアなどの軍事的な挑発からもその悪意を読解することができますよね。
『イ』において、パワーバランスによって外交を「成り立」たせるのは帝国主義的発想であるとのことですが、確かにそれについては同意します。が、軍事的に優位にある国が「成り立」たたせようとはしなくても、軍事的に劣位にある国は侵略される可能性を考えてしまうものです。深層心理といいますか。 
『カ』において、病気の例を挙げておられますが、どれだけ予防を万全にしようとも病に倒れることはあります。その意味では、特効薬としての軍事力を保持する必要もあるのではないかと。まぁ、武力が特効薬になり得るかは別の問題ですけれどね。
『キ』において、だからこそのアメリカとの軍事同盟です。個人的には、平時から戦争時までをカバーできるような憲法を望みます。
『ク』において、破綻させないための武力なのではないでしょうか。もちろん、戦争をすればそれで解決するというわけではありません。「イ」でも述べましたが、言わば、武力の保持も外交努力に含まれるのです。
『サ』においても、「イ」のとおりです。国連憲章に反しない形の武力による外交援助。中国やアメリカやロシアが今なお行っていることですよね。軍事演習などもこれに含まれます。
『シ』において、現状において日本の武力には歯止めが効きすぎていると考えます。例えば自衛隊の武力行使が禁止されている点。他国との信頼関係を築く為のPKO活動なのに、それが万全に行えないなど、現行憲法には時代との齟齬が生まれてしまっています。
『ス』において、確かに日本の軍事力は周辺国に比べて劣るものがあります。ただ「キ」にも述べたとおり、アメリカとの軍事同盟を有効に活用することで、危機を乗り越えられる可能性が発生するのではないかと思います。もちろん、なんでもかんでもアメリカに頼りきる訳ではありません。日本としても軍備を拡張し、アメリカ軍との連携を深めていくことが必要になります。

私は戦争したい訳ではありません。平和を望みます。素晴らしい日本という国を守るためにはどうすればいいかを思案しているだけで、あくまで著者様と対立したい訳ではありません。私は、平和主義や9条で対処しきれない時代が到来していると考えています。ですから、9条を改正する必要があると思っています。世界に真の平和が訪れることを切に願います。

出典:『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』のコメント欄

(1)一段落目のコメントについて

まず、2022年8月17日にコメントを付けた”名無し”氏は、一段落目で次のようにコメントしていますので、このコメント部分について論じます。

『ア』において、悪意を持って接してくる国はもう存在しています。悪意を持って接してくる国が存在している今現在、すでに憲法9条は効力を発揮しません。北朝鮮や中国やロシアなどの軍事的な挑発からもその悪意を読解することができますよね。

出典:『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』のコメント欄

① 「悪意」を具体的に例示すべき

この点、このコメント主は

『「ア」において、悪意を持って接してくる国はもう存在しています

としたうえで

北朝鮮や中国やロシアなどの軍事的な挑発からもその悪意を読解することができますよね

と述べていますから、このコメント主が北朝鮮・中国・ロシアが日本に対して「軍事的な挑発」を行い、外交上「悪意を持って接して」いると理解していることがわかります。

この点、まずその「悪意」が何を指しているか不明ですが、このコメントが付けられた『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事も、その記事の基の記事になっている『憲法9条に「攻めてきたらどうする」という批判が成り立たない理由|憲法道程』の記事も、9条に対して「攻めてきたら」という批判があることを前提として論じたものですので、この「悪意」は日本を軍事的に「攻める」あるいは「侵略する」ような「悪意」を指しているということになります。

つまり、このコメント主は、北朝鮮や中国やロシアが日本に「攻めてくる」と考えていて、それらの国が日本を「侵略する意図をもって接してきている」と理解しているわけです。

しかし、そう主張するのであれば、北朝鮮・中国・ロシアの具体的にどのような軍の行動が「侵略するための軍事的な挑発」にあたるのか、また具体的にどのような外交施策が「侵略するための悪意」と受け取れるのか例示してもらえなければ論じようがありません。

このコメントのように、北朝鮮や中国、ロシアが「悪意を持って接してくる(侵略する意図をもって接してくる)」などという趣旨のコメントは私がYouTubeに公開した動画にもたびたび付けられますが、そう主張するのであれば、その主張の根拠を具体的に例示してくれないと論じようがありません。

根拠がないコメントはただの妄想としか言えませんが、個人の妄想をコメントするのは正直やめてほしいと思います。

② 北朝鮮・中国・ロシアに「(侵略するための)悪意」があるというのなら、日本やアメリカも「(侵略するための)悪意」があるということになる

この点、憲法9条の改正を望む人たちの多くは、北朝鮮の拉致事件やミサイル問題、中国の尖閣諸島周辺における行動の問題、ロシアの北方領土に関する問題やロシア軍機の飛行に関する問題などを例に挙げて軍隊の必要性を主張するのが常ですので、もしかしたらこのコメント主もそうした事例を想定して「(侵略するための)悪意」と結論付けているのかもしれませんのでその点について簡単に論じておきます。

a)北朝鮮について

しかし、北朝鮮の拉致事件は、すでに『北朝鮮の拉致事件は憲法9条のせいだ…が間違っている理由|憲法道程』や『憲法9条があるから北朝鮮の拉致問題が解決しない…が嘘の理由|」憲法道程』の記事で論じたように、憲法9条が原因ではなく、むしろ歴代の日本政府が9条を真摯に実践していれば防ぐことが出来た可能性があった問題ですから、仮にこのコメント主が北朝鮮の拉致事件を根拠に北朝鮮が「悪意を持って接してくる(侵略を意図して接してくる)」と主張しているとすれば、それは暴論です。

また、このコメント主は北朝鮮のミサイル問題を理由に「悪意を持って接してくる」などと主張しているのかもしれませんが、北朝鮮が日本海や時には東北地方をまたいで太平洋にまでミサイルを飛ばしている事実があるとしても、それはなにも日本を侵略するために日本に向けてミサイルを撃っているわけではありません。

そもそも北朝鮮がミサイルをなぜ撃つかというと経済制裁を止めさせたいからですが、その経済制裁を主導しているのはアメリカです。日本はアメリカに追随しているにすぎず、アメリカが制裁を解除しない限り日本も解除しないのは北朝鮮もわかっていますから、北朝鮮はアメリカに向けて(※「向けて」とは”方向”の意味ではなく、ミサイルを撃つ能力があることをアメリカに”示す”という意味)ミサイルを撃っているわけです。

おそらくこのコメント主は北朝鮮が日本海にミサイルを撃ち込むことを根拠に「悪意を持って接してくる(侵略を意図して接してくる)」と考えているのでしょうが、北朝鮮にとって日本など眼中にないことに気づいた方が良いと思います。

さらに言うなら、世界最強の軍事大国であるアメリカでさえ北朝鮮のミサイル発射を止められないのですから、仮に憲法9条を改正して日本が軍備を増強しても、北朝鮮のミサイル発射を止めさせられるわけがありません。

憲法9条を改正して軍備を増強し”戦争できる国”にすることで北朝鮮のミサイル発射を止めさせ「悪意を持って接してくる」状態を改善させられると主張するのであれば、どのような施策をもって日本がアメリカを上回る軍事力を保有し、北朝鮮を軍事力で(あるいはその抑止力で)屈服させることができるのか、具体的に論じることが必要でしょう。

それを論じもせずに憲法9条を改正して軍備を増強すれば北朝鮮が「悪意を持って接してくる」状態を改善させ、かつ平和を実現できると主張するのであれば、それは妄想というほかありません。

ちなみに、日本がアメリカを凌駕するような軍事力を維持できないことはすでに『日本が軍隊で国民を守れない(戦争に勝てない)7つの理由』の記事で論じていますのでそちらをご覧ください。

なお、仮にこのコメント主が北朝鮮のミサイル発射を根拠に「軍事的な挑発」「悪意を持って接してくる(侵略を意図して接してくる)」と主張しているのであれば、日本の自衛隊も日本海でたびたび米軍と合同軍事演習を行っていますので、北朝鮮から見ればそれは「軍事的な挑発」「(日本が)悪意をもって接してくる(侵略を意図して接してくる)」と言うことになってしまいます。

たとえば先の戦争も、満州や仏領インドシナを侵略した日本に対してアメリカが強力な経済制裁を実施し、それをアメリカやイギリスの「挑発」「悪意(侵略)」だとして真珠湾や英領マレー半島への攻撃を「自衛」として正当化したのが日本でした。

日本が米軍との合同軍事演習などしていない状態で北朝鮮がミサイルを撃ち込んでいるのであれば北朝鮮の行動を「挑発」「悪意」とも言えるかもしれませんが、北朝鮮の目と鼻の先の日本海で軍事的な示威行為をしておきながら「挑発」「悪意(侵略の意図がある)」というのは主観的すぎるでしょう。

そうした主張をする人は少なくありませんが、もうすこし客観的な視点が必要ではないでしょうか。

b)中国について

次に、尖閣諸島の周辺で公船を航行させる中国について「挑発」「悪意(侵略を意図して接してくる)」と考える人もいますのでこの点を考えますが、中国は尖閣諸島の領有権を主張していますので、中国にすれば自国領の尖閣諸島で公船を航行させているにすぎず、それを国有化し周辺海域に巡視船を航行させている日本こそ「挑発」「悪意(侵略の意図)」をもって接してくる国となるでしょう。

これは前述の「a」で述べた北朝鮮の場合と同じですが、尖閣問題を理由に中国が日本に対して「軍事的な挑発」をしているとか「悪意を持って接してくる」などとという主張を肯定するなら、日本も中国に対して「挑発している」「悪意をもって接している(侵略を意図して接している)」という主張も肯定しなければならなくなってしまうわけです。

しかし、そもそもそうした「悪意(侵略の意図)」をもって他国に接する外交を憲法9条と憲法の平和主義の基本原理は予定していませんので、憲法の9条と平和主義の基本原理を逸脱した「悪意」があることを前提として、憲法9条の改正を論じることはできません。

「a」でも述べたように、こうした主張も自国の側からの主観でしか物事を認識できていないと言わざるを得ませんから、こういう主張を展開する人は、もう少し物事を客観的に見る癖をつけた方が良いでしょう。

なお、アメリカは「日米安全保障条約は尖閣諸島にも適用される」との見解をとっているそうですが(※詳細は→尖閣諸島情勢に関するQ&A Q16|外務省)、強力な軍事力を有しているアメリカが安保条約の適用内だと公言しているにも関わらず、中国は尖閣諸島周辺に公船を派遣していますので、軍事力をもって尖閣諸島問題の解決を図るというのなら、アメリカを凌駕する軍事力を日本が保有しなければなりません。

尖閣問題を理由に憲法9条の改正を正当化している人は、アメリカに軍事力も国力も遠く及ばない日本が、具体的にどのような施策をもってアメリカを凌駕し、中国を屈服させる軍事力を保有できるのか、まず説明すべきでしょう。

ちなみに、これも繰り返しになりますが、日本がアメリカを凌駕するような軍事力を維持できないことはすでに『日本が軍隊で国民を守れない(戦争に勝てない)7つの理由』の記事で論じていますのでそちらをご覧ください。

c)ロシアについて

つづいて、北方領土問題や領空近くまで軍用機を飛ばして頻繁に自衛隊にスクランブルをかけさせるロシアを念頭にロシアに「悪意(侵略の意図)」があると主張する人もいますので、その点を確認します。

まず、北方領土問題を理由にロシアが日本に「悪意(侵略の意図)」があるという趣旨の主張をする人がいますのでその点を検討しますが、北方領土問題が解決されない点に憲法9条は何の責任もなく、むしろ憲法9条と平和主義の基本原理を真摯に実践していれば北方領土の問題が解決できた可能性があることは既に『憲法9条があるのに北方領土が返還されない本当の理由|憲法道程』や『憲法9条の戦争放棄だけが北方領土の問題を解決できる理由|憲法道程』の記事で論じていますので、北方領土問題を理由にロシアに「悪意」があるとか、あるいは北方領土問題を理由に憲法9条の改正を正当化する主張は成り立ちません。

また、ロシアが軍用機を北海道近辺にまで派遣して頻繁に航空自衛隊にスクランブルをかけさせている事実がありますが、軍用機を他国の領空付近まで飛ばす事例はNATOなどにもありますので、そうした事例をだけをもって「悪意を持って接してくる(侵略を意図して接してくる)」などということはできないでしょう。

さらに言えば、これも前述した北朝鮮や中国の場合と重複する部分がありますが、仮にロシアから日本に対して軍事行動があれば、それは当然に日米安保条約の適用範囲内ですし、今の日本には米軍基地もあるわけですから、それにもかかわらずロシアが日本の領空付近にまで軍用機を飛ばしているという事実はアメリカの強大な軍事力をもってしてもロシアが軍用機を飛ばして自衛隊にスクランブルを掛けさせる行為を止めさせることが出来ないことの証左と言えます。

そうであれば、仮にロシアが日本に向けて軍用機を飛ばす行為を「悪意(侵略の意図)」として、それを軍事力(あるいはその抑止力)によって止めさせるというのならアメリカを凌駕する軍事力を保有しなければなりませんが、アメリカに軍事力も国力も遠く及ばない日本が、具体的にどのような施策をもってアメリカを凌駕し、ロシアを屈服させる軍事力を保有できるのか、私には理解できません。

この点は、このコメント主がコメントを付けた記事の基の記事になっている『憲法9条に「攻めてきたらどうする」という批判が成り立たない|憲法道程』や、そこからリンクしている『日本が軍隊で国民を守れない(戦争に勝てない)7つの理由』の記事でも論じていますが、ロシアの行動を「悪意」だとしてその「悪意」に対抗するために憲法を改正して軍事力を増強することが必要であると考える人がいるのなら、まず具体的にどのような施策をもって日本がアメリカをも凌駕し、ロシアを屈服させるだけの軍事力を保有できるのか、ぜひ説明してもらいたいと思います。

d)北朝鮮・中国・ロシアに「悪意(侵略の意図)」があるというのなら根拠となる事実を挙げて論証する必要がある

以上の①と②で述べてきたように、このコメント主は北朝鮮や中国、ロシアが日本に対して「悪意を持って接してくる」とか「軍事的な挑発」をしていると言いますが、その根拠は全く示されていませんし、仮に拉致問題やミサイル問題、尖閣問題、北方領土問題等を考えてもそれを「悪意(侵略の意図)」とは言えませんから、このコメントの当該部分は理由がないと言えます。

それでも北朝鮮や中国、ロシアにおいて、日本に対する「悪意(侵略の意図)」があるというのなら、具体的な事実を挙げて「こういう事実があるから北朝鮮・中国・ロシアが日本に対する侵略を意図しているのだ」と論証したうえで、日本がどのような人的・経済的資源をもってアメリカをも凌駕し中国・ロシア・北朝鮮を圧倒する軍事力を維持することができるのか論証する必要があるでしょう。

③ 憲法9条に他国の「悪意」を止める「効力」はそもそもない

なお、このコメント主はこのコメント部分で

悪意を持って接してくる国が存在している今現在、すでに憲法9条は効力を発揮しません

と述べていますのでこの点について言及しておきますが、そもそも憲法9条は日本国政府に対して「戦争するな(戦争放棄)」「軍隊を持つな(戦力の不保持)」「軍事力を行使するな(交戦権の否認)」と制限を掛けたものであって、国外勢力に「悪意(侵略の意図)」を持たせないための「効力を発揮」するものではありません。

その点は『憲法9条に「攻めてきたらどうする」という批判が成り立たない|憲法道程』や『日本が軍隊で国民を守れない(戦争に勝てない)7つの理由』の記事でも繰り返し説明したはずですが、このコメント主はおそらく読めていないのでしょう。

この点、このコメントが付けられた『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事の中で私が次のように記述しているところから、憲法9条を「悪意を持って接してくる国」が生まれてしまうのを防ぐための条文だと理解してしまった可能性もあります。

つまり私は、憲法の平和主義の基本原理と第9条について、「悪意を持って接してくる国」との間の紛争や対立を外交で解決するものと説明しているのではなく、積極的な外交努力を続けることでそもそもそうした「悪意を持って接してくる国」が生まれてしまうのを未然に防ぐことで自国の国民の安全保障を確保するものと説明しているわけです。

出典:”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証

しかし、その記事のその部分の次の部分を読み進めてもらえばわかるように、私は「悪意を持って接してくる国」が生まれてしまわないようにする努力を求めているのが現行憲法の「平和主義(の基本原理)」で、その平和主義の基本原理を具現化するために憲法9条を規定して軍事力やその行使を否定しているとの趣旨で説明しています。

現行憲法の平和主義は、「悪意を持って接してくる国」が生まれてしまってから「ちょっとまってよ、話し合いで解決しましょうよ」などという姿勢で国民の安全保障を確保することは困難だと考えているからこそ、憲法第9条で軍事力を否定して「悪意を持って接してくる国」が生まれてしまわないようにするために、中立的な立場から国際社会に向けて平和構想の提示を行ったり、紛争解決のための助言や提言であったり貧困解消のための援助など、世界の平和実現に向けた積極的な外交努力を行い続けることを要請しています。

出典:”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証

つまり、憲法の平和主義の基本原理がまずあって、それを具現化する為には軍事力は有害無益なので、軍事力を否定する憲法9条を規定して国家権力に歯止めを掛けたという趣旨の説明しているわけです。

しかも、そのあとの部分では、『仮に外交的に対立する国が生じてしまったときにその国から「攻められない」ようにする外交努力によって戦争を「予防」することも求めてもいるわけですが』と書いていますから、この部分を読めば、このコメントがズレているのが理解できるはずなのですが、この部分も読んでいないのでしょう。

もちろん、仮に外交的に対立する国が生じてしまったときにその国から「攻められない」ようにする外交努力によって戦争を「予防」することも求めてもいるわけですが、いったん戦争によって紛争や対立を解消させようと考える国が生まれてしまえば、軍事力のよる抑止力だけでなく、外交交渉によっても戦争を「予防」することは困難です。

そのため憲法の平和主義と第9条は、そうした戦争の「予防」が必要になる事態が生じてしまわないように、そうした戦争の「予防」という視点から一歩進めて、『原因療法的』な視点から、積極的な外交努力でそもそもそうした紛争や対立の「種」になる要素、具体的に列挙するなら憲法前文で述べられた「専制と隷従、圧迫と偏狭」また「恐怖と欠乏」などを世界から除去していくことの中に日本国民の安全保障か確立できるという確信に基礎を置いているのです(※詳細は→「攻められない国にする方法を教えろよ」との憲法9条批判の検証)。

出典:”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証

このコメント主のように、文章の一部分を切り取って都合のいいように批判してくる人は絶えませんが、一つの段落にすべての情報を盛り込むことはできません。

文章を批判する際は、全体を読み、その書き手が何を述べようとしているのかを理解する努力をしてもらいたいと思います。

そして、このコメント主だけでなく、このページを読んでいる人の全てに考えてもらいたいのは、戦後の日本政府(国民も含めて)が「憲法の平和主義の基本原理と憲法9条を真摯に実践してきたのか」という点です。

このコメント主は

悪意を持って接してくる国が存在している今現在、すでに憲法9条は効力を発揮しません

と言いますが、仮にそうした「悪意(侵略の意図)」を持って接してくる国が今現在存在していたとしても、その原因は憲法の平和主義の基本原理や9条にあるのではありません。

なぜなら、歴代の日本政府は憲法の平和主義の基本原理や9条を守らずに、憲法が本来的に予定しない事実上の軍隊に他ならない自衛隊を整備し、憲法が本来的に予定しない事実上の軍事同盟に他ならない日米安保条約によって国民の安全保障を確保しようとしてきたからです(この点の詳細は→『「日本が平和だったのは憲法9条があったから」なのか?|憲法道程』)。

戦後の日本政府は、憲法の平和主義の基本原理や9条が本来的に予定しない自衛隊を整備し、日米安保条約を締結し、少なからぬ国民がそれを支持してきましたから、このコメント主が言うように「悪意を持って接してくる国が存在している」というのが事実なら、それは歴代の日本政府と国民の安全保障施策がそうした「悪意を持って接してくる国を存在」させてしまったということになります。

つまり、このコメント主が言うように、今現在「悪意を持って接してくる国が存在している」というのが事実であれば、それは憲法の平和主義の基本原理や9条を否定して、自衛隊という事実上の軍隊や安保条約という事実上の軍事同盟、すなわち憲法が本来的に予定しない軍事力に頼って国民の安全保障を確保しようとしてきた歴代の日本政府とそれを支持してきた国民の安全保障施策の失敗が、「悪意を持って接してくる国」を生み出した、ということになるわけです。

それにも関わらず、これまで憲法の平和主義の基本原理や9条を守ってこなかったことを棚に上げて、憲法9条の改正を求めるのなら、盗人猛々しいというほかありません。

それではまるで、医者から暴飲暴食を止めるよう注意されたのにそれを無視して暴飲暴食を繰り返した挙句に持病を悪化させておきながら「先生は暴飲暴食するなって言ってたけど、先生の助言なんて全く効力を発揮しないじゃないですか」とクレームをつけているのと変わりません。

それは暴論ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

なお、仮にこのコメント主が言うように、今現在「悪意を持って接してくる国が存在している」というのが事実であるとすれば、その悪意(侵略の意図)が戦闘を伴う戦争に発展してしまう前に、憲法が本来的に予定しない自衛隊と安保条約も含めた日本の有する軍事力を一日も早く段階的に縮小ないし撤廃し、早急に憲法の平和主義の基本原理と9条を真摯に実践して周辺諸国だけでなく世界の国々と積極的な外交を行い、中立的な立場から世界平和の実現に向けた努力に邁進しなければなりません。

このコメント主が言うことが事実なら、なおさら憲法9条の改正や軍事費の増大などしている場合ではなく、これまで安保条約の維持や軍備に回していた経済的・人的予算を世界平和のために充てることで日本を「攻められない国」にする努力をしなければならないと言えるでしょう。

(2)二段落目のコメントについて

次に、二段落目のコメントについて検討します。

このコメント主は、私の『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事に次のようなコメントをしています。

『イ』において、パワーバランスによって外交を「成り立」たせるのは帝国主義的発想であるとのことですが、確かにそれについては同意します。が、軍事的に優位にある国が「成り立」たたせようとはしなくても、軍事的に劣位にある国は侵略される可能性を考えてしまうものです。深層心理といいますか。 

出典:『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』のコメント欄

この部分は、正直言って何を言いたいのか全く分かりません。

アエラドットの記事が引用したストックホルム国際平和研究所の資料によれば、2021年の日本の軍事費は世界第9位で中国やロシアに劣るそうですが(※参考→防衛費「対GDP比2%」なら世界3位の軍事大国へ 増額しても「自衛隊の規模拡大はほぼ不可能」と専門家)、北朝鮮よりは格段に多いはずです。

そうすると、その資料を前提にすれば、このコメント主が言う「軍事的に劣位にある国」は、日本と北朝鮮との関係でいえば北朝鮮ということになりますので、北朝鮮側がこのコメント主が言う「深層心理」によって日本から「侵略される可能性」を考えているということになってしまいますが、前述したようにこのコメント主は前述の一段落目のコメントでは、北朝鮮が日本に「悪意(侵略の意図)」を持っているという趣旨の意見を述べています。

いったいこのコメント主は、「北朝鮮が日本を侵略する(意図を持っている)」から憲法9条の改正が必要だと言いたいのか、それとも「北朝鮮が日本から侵略されると考えている」と考えているから憲法9条の改正が必要だと言いたいのか、どちらなのでしょうか(仮に後者だったら意味不明ですが)。

もしかしたら、このコメント主は日本の自衛隊の装備が北朝鮮のそれに劣っていると思っているのかもしれませんが、日本の極右思想を持つ人たちの中でさえ、日本の自衛隊の装備が北朝鮮に劣ると考えている人はいないのではないでしょうか。

あるいは、この部分は日本が中国やロシアと比較して軍事力が劣ることを前提に、日本はこのコメント主が言う「深層心理」によって「侵略される可能性を考えてしまう」から、侵略されないために軍事力が必要だと言うことを言いたいのかもしませんが、その「深層心理」はいったい誰の心理なのか、政府の心理なのか有権者の心理なのか世論なのか、また何を根拠に「侵略される可能性を考えてしまう」と考えているのか、何一つ説明がなされていませんので全く理解できません。

こうした根拠のない個人の妄想は他者の記事へのコメントではなく、ご自身のツイッターアカウントなどに投稿してはいかかでしょうか。

なお、このコメント部分からは、日本が北朝鮮や中国、ロシアを圧倒できる軍事力を保有できると考えていて、その圧倒する軍事力を手に入れれば、このコメント主が言う「軍事的に劣位」に立たされることになる北朝鮮や中国やロシアが「侵略される可能性を考えてしまう」のでおとなしく日本の言うことを聞くはずだというようにも読み解くこともできますが、だとしたら日本を軍事力を背景にして他国を意のままにする”ならずもの国家”に変えたいということになります。

しかし私はそんな国に住みたいとは思いません。仮にこのコメント主がそう考えているのであれば、このコメント主はそういう帝国主義思想をいまだに持っていると言うことになりますが、だとしたら私とは思想が根本的に相いれない人なのかもしれません。

(3)三段落目のコメントについて

次に、三段落目のコメントについて検討します。

このコメント主は、私の『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事に次のようなコメントをしています。

『カ』において、病気の例を挙げておられますが、どれだけ予防を万全にしようとも病に倒れることはあります。その意味では、特効薬としての軍事力を保持する必要もあるのではないかと。まぁ、武力が特効薬になり得るかは別の問題ですけれどね。

出典:『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』のコメント欄

この部分も何を言いたいのか不明です。中段では

特効薬としての軍事力を保持する必要もあるのではないか

と言いながら、後段では

武力が特効薬になり得るかは別の問題です

と真逆のことを述べています。

この人は、軍事力によって国民の安全保障を確保すべき(軍事力は特効薬となる)と言っているのか、それとも軍事力によって国民の安全保障を確保することはできない(軍事力は特効薬にならない)と言いたいのか、いったいどちらなのでしょうか。

このようにあらかじめ逃げ道を用意するぐらいなら、他人の記事にコメントを残すのは止めた方が良いでしょう。迷惑です。

なお、誤解している人が多いようなので念のため述べておきますが、私は憲法9条の改正には反対しており、憲法の基本原理である平和主義と9条を真摯に実践すべきだという立場ではあるものの、軍事力で国民を守る方法を完全に否定しているわけではありません。

これは『憲法9条に「攻めてきたらどうする」という批判が成り立たない|憲法道程』や『日本が軍隊で国民を守れない(戦争に勝てない)7つの理由』の記事でも繰り返し述べていますが、日本の国力では軍事力で国民の安全保障を確保することは困難であるだけでなく、それが不可能であることは先の戦争で地理的・財政的・歴史的に証明されているのだから、日本は『対症療法的』な視点から軍事力で安全保障を確保するのではなく、『原因療法的』な視点から戦争に発展するような危険を未然に防ぐことでしか国民の安全保障を確保することはできない、だから現行憲法の平和主義の基本原理と9条を実践するしかないというのが私の意見です。

このコメント主が考えるように、武力(軍事力)で他国との紛争を解決する道もあると言えばあるでしょう。

しかし、『日本が軍隊で国民を守れない(戦争に勝てない)7つの理由』の記事でも述べたように、日本に限って言えば、このコメント主が「悪意(侵略の意図)を持って接してくる」と考えている北朝鮮や中国やロシアとの間の紛争を武力(軍事力)によって解決するのが不可能なのは財政的・地理的・歴史的に証明されているわけですから、日本ではそうした武力(軍事力)に頼る施策は機能しないのです。

このコメント主が武力(軍事力)によって国民の安全保障を確保すべきだと考えているのであれば、なぜ日本が北朝鮮や中国やロシアを圧倒できる軍事力を維持し、それらの国との戦争に勝てると考えるのか、論証することが必要でしょう。

(4)四段落目のコメントについて

つづいて、四段落目のコメントについて検討します。

このコメント主は、私の『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事に次のようなコメントをしています。

『キ』において、だからこそのアメリカとの軍事同盟です。個人的には、平時から戦争時までをカバーできるような憲法を望みます。

出典:『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』のコメント欄

このコメントは、『キ』の部分の文章からズレています。

このコメントが付けられた『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事の『キ』の部分は、『対症療法的』な視点から軍事力で安全保障を確保しようと考える立場では「戦争」をリスクと考えてその「戦争」のリスクをマネジメントするために軍事力を強化しようとする一方、憲法の平和主義の基本原理や9条のように『原因療法的』な視点から積極的な外交努力で安全保障を考える立場では「戦争」ではなく「戦争に繋がるような対立」をリスクと考えて、その「戦争につながるような対立」を未然に防ごうとマネジメントする、という趣旨のことを述べているからです。

「軍事力で安全保障を考える立場と憲法の平和主義の基本原理と9条の立場ではそもそもマネジメントの視点が異なるのですよ」ということを述べた文章に対して、「だからこそのアメリカとの軍事同盟です」などと元の文章とズレたコメントを付けられても、返答の使用もありません。「だからこそ」の「だから」とは、いったい何を指しているのでしょうか。

このコメント主は、『キ』の部分を本当に読んだのでしょうか。読んでいるというのなら、もう一度『キ』の部分を読み返した方が良いでしょう。

なお、アメリカとの安保条約に限らず、集団的自衛権が日本にとって有害無益なことは『日本が軍隊で国民を守れない(戦争に勝てない)7つの理由』ですでに論じていて、このコメント主がコメントを付けた『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事からもリンクを張っているはずですが、読んでいないのでしょうか。

コメントするときは、リンクを張っている記事にも目を通してからにしてほしいと思います。

(5)五段落目のコメントについて

つづいて、五段落目のコメントについて検討します。

このコメント主は、私の『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事に次のようなコメントをしています。

『ク』において、破綻させないための武力なのではないでしょうか。もちろん、戦争をすればそれで解決するというわけではありません。「イ」でも述べましたが、言わば、武力の保持も外交努力に含まれるのです。

出典:『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』のコメント欄

このコメントも私の記事を全く理解できていません。

このコメントが付けられた『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事の『ク』は、『憲法9条に「攻めてきたらどうする」という批判が成り立たない理由|憲法道程』で論じた憲法9条に対して「攻めてきたらどうする」という批判に対して、憲法9条と平和主義の基本原理は他国が「攻めてきた」場合に反撃する軍事力ではなく、他国が「攻めてくる」ような危険を未然に防ぐことで国民の安全保障を確保しようとするものであるから、「攻めてきたらどうする」という問いは『安全保障施策が破綻したときの対処法』を問うものになり、その『安全保障施策が破綻したときの対処法』は軍事力によって安全保障施策を確保しようと考える立場では「国外勢力が攻めてきて戦争に(事実上)負けたとき」になる以上それには答えられないのだから、憲法9条や平和主義の基本原理に対して「攻めてきた」ことを前提として「攻めてきたらどうする」という批判は成り立たないということを述べた部分だからです。

このコメント主は

破綻させないための武力

と言っていますが、武力(軍事力)によって安全保障を確保しようと考える立場では『国の安全保障施策が破綻したとき』は「他国が攻めてきて戦争に(事実上)負けたとき」になるので、その時点で戦争に(事実上)負けて安全保障施策が「破綻」している以上、その「破綻させないための武力」はもはや存在しません。

この点は『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』のページでも『憲法9条に「攻めてきたらどうする」という批判が成り立たない理由|憲法道程』の記事でも散々説明してきたのですが、このコメント主は全く読めていないのでしょう。

その2つの記事はどちらも1万字を超える長いものですが、その長い記事で説明してもこうしたトンチンカンなコメントを付ける人に対して、そのロジックを理解させる能力は残念ながら私にはありません。

私の説明したロジックが理解できない人に対しては、『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』のページと『憲法9条に「攻めてきたらどうする」という批判が成り立たない理由|憲法道程』の記事を読み返してくれとしか言いようがありません。

また、このコメントの後段部分の

武力の保持も外交努力に含まれる

という部分も私の記事を全く理解できていません。

憲法の平和主義の基本原理と9条は、これまで(戦前・戦中まで)軍事力に充てていた人的・経済的資源の全てを軍事力ではなく外交努力に充てることで世界平和の実現に貢献することを要請していて、その努力の中にこそ自国民の安全保障が確立できるのだという確信に基礎を置いているからです。

憲法の平和主義の基本原理と9条の立場では武力を否定して外交努力に人的資源と経済的資源を集中させるのですから、「武力」は「外交努力」に含まれません。

このコメント主は、根本的に武力で安全保障を確保しようと考える諸外国や戦前の日本の憲法と、武力を否定して外交努力で安全保障を確保しようと考える現行憲法の違いを理解していない、というか理解しようとしていないので、これ以上説明しても無駄でしょう。

それから

武力の保持も外交努力に含まれる

という主張は、おそらく外交交渉を有利に進めるために強力な武力を保持すべきだと言うことを言いたいのだと思いますが、保有する武力(軍事力)を外交交渉に利用することは国連憲章違反で帝国主義だということは『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』のページでも述べたとおりです。

このコメント主はコメントの第二段落の部分で「それについては同意します」と言っていたはずですが、いったい同意するのかしないのか、どちらなのでしょうか。

もう少し頭の中を整理してからコメントすることをお勧めします。

(6)六段落目のコメントについて

つづいて、六段落目のコメントについて検討します。

このコメント主は、私の『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事に次のようなコメントをしています。

『サ』においても、「イ」のとおりです。国連憲章に反しない形の武力による外交援助。中国やアメリカやロシアが今なお行っていることですよね。軍事演習などもこれに含まれます。

出典:『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』のコメント欄

しかし、武力(軍事力)を使って外交を「援助」したら、それは国連憲章違反です。

このコメント主は

中国やアメリカやロシアが今なお行っていること

と言いますが、私は中国やアメリカやロシアが軍事力を行使して外交交渉を有利に進めた事実を知りません。

たとえばTPPの交渉でアメリカが軍事力を行使して(あるいは軍事力で威嚇して)自国の関税が有利になるようにした事実はあったでしょうか。

たとえば国連で中国やロシアが武力(軍事力)を行使して(あるいは軍事力で威嚇して)自国の主張を押し通そうとしたことがあるのでしょうか。

私は知りませんが、このコメント主はその事実を知っているのかもしれません。

なお、このコメント主は

軍事演習などもこれに含まれます

といいますが、軍事演習が「国連憲章に反しない」のはそのとおりですが、自国に有利な結果を得られるようにするためにその外交を軍事演習で「援助」したとすれば、それは国連憲章が禁止する「武力による威嚇」そのものです。

たとえば日本の自衛隊も日本海で米軍と合同軍事演習をしていますが、あくまでも「軍事演習」として行っています。

しかし、仮にその軍事演習の目的が拉致被害者の帰国交渉を有利に進めようとするための脅しであったり、ミサイル発射を止めさせるための恫喝であったなら、当然国連憲章違反の問題は惹起されるでしょう。

国連憲章 第2条4項

すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。

出典:https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/

このコメント主は、どうやら憲法を改正して強力な軍事力を保持し、日本海あたりで軍事演習して中国や北朝鮮を恫喝して外交交渉を有利に進めることを望んでいるようですが、そうした”ならずもの国家”に憧れているのであれば、自民党の憲法改正に賛成して戦前の日本のような国になるように努力すればいいと思います。私は命の続く限り徹底的に抵抗しますが。

(7)七段落目のコメントについて

つづいて、七段落目のコメントについて検討します。

このコメント主は、私の『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事に次のようなコメントをしています。

『シ』において、現状において日本の武力には歯止めが効きすぎていると考えます。例えば自衛隊の武力行使が禁止されている点。他国との信頼関係を築く為のPKO活動なのに、それが万全に行えないなど、現行憲法には時代との齟齬が生まれてしまっています。

出典:『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』のコメント欄

このコメントが付けられた『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事の『シ』の部分は「通常の外交」と「憲法の平和主義と9条が要請する外交」が同じではないと言うことを述べたもので、自衛隊に掛けられた制限などについて述べたものではありません。

このコメントは、『シ』の部分から根本的にズレているのでこうした議論がやりたければご自身のブログか”5ちゃんねる”あたりのサイトを利用した方が良いと思います。

このコメント主は際限のない武力行使をお望みのようですが、それを実現するのが自民党健保改正草案の第9条の2ですので、このコメント主と同じ考えを持つ人は自民党憲法改正草案に賛成すればよいでしょう。

ちなみに、自民党憲法改正草案第9条の2の危険性については『自民党憲法改正案の問題点:第9条の2|歯止めのない国防軍|憲法道程』の記事で論じています。

なお、このコメント主は

現行憲法には時代との齟齬が生まれてしまっています

と述べていますが、既に『憲法は何を目的として改正されるべきなのか|憲法道程』や『憲法を「時代に合わせて」改正するとファシズムや差別を招く理由|憲法道程』の記事でも論じたように、憲法の改正は既存の憲法を「時代」に合わせるためのものではなく、「真理」に近づけるための作業です。

憲法を「時代との齟齬が生まれ」たからといってその「時代」に合わせて改正してしまうなら、差別主義者が多数派を占める時代がくれば女性や障害者、他民族やマイノリティを差別する憲法に改正し、ファシストが多数派を占めればナチス憲法に改正しなければならなくなってしまいます。

「時代に合わない憲法は変えるべき」との意見はネット上に散見されますが、こうした主張が何を招くかということを全く理解できていない人たちが憲法の改正を声高に叫んでいるのですから恐ろしい「時代」になったものです。

(8)八段落目のコメントについて

つづいて、八段落目のコメントについて検討します。

このコメント主は、私の『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事に次のようなコメントをしています。

『ス』において、確かに日本の軍事力は周辺国に比べて劣るものがあります。ただ「キ」にも述べたとおり、アメリカとの軍事同盟を有効に活用することで、危機を乗り越えられる可能性が発生するのではないかと思います。もちろん、なんでもかんでもアメリカに頼りきる訳ではありません。日本としても軍備を拡張し、アメリカ軍との連携を深めていくことが必要になります。

出典:『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』のコメント欄

まず、このコメント主は

確かに日本の軍事力は周辺国に比べて劣るものがあります

と述べていますが、このコメントが付けられた『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事で私は「日本の軍事力は周辺国に比べて劣る」などということを述べたわけではなく「日本が中国・ロシア・北朝鮮をまとめて圧倒できる軍事力を維持するのは不可能だ」という趣旨のことを述べています。その点でこの部分はズレています。

また、このコメント主は

アメリカとの軍事同盟を有効に活用することで、危機を乗り越えられる可能性が発生する

と述べていますが、前述の(4)の部分でも述べたように、アメリカとの安保条約に限らず集団的自衛権が日本にとって有害無益なことは『日本が軍隊で国民を守れない(戦争に勝てない)7つの理由』ですでに論じていて、このコメント主がコメントを付けた『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事からもリンクを張っていいます(※繰り返しになりますが、記事にコメントされる方はリンクを張っている記事も読んでからにしてください)。

このコメント主はアメリカが安保条約に基づいて日本を助けてくれると思っているようですが、ベトナム戦争では南ベトナムを見捨てて逃げ帰り、アフガニスタンでは戦争を仕掛けておきながら新政権を見捨てて逃げ帰ったあとタリバンの弾圧を放置し、シリアでも支援してきた反政府勢力を見捨てて内戦を放置しているのがアメリカです。

日本が戦争に巻き込まれれば安保条約が適用されるのでアメリカも助けてくれるでしょうが、アメリカは民主主義国家ですから議会や有権者の支持を得られなければ政権がもちませんので米軍はいずれ必ず撤兵します。そうして梯子を外された後は日本が単独で戦わなければなりませんが、このコメント主は

なんでもかんでもアメリカに頼りきる訳ではありません

と述べていますので、中国・ロシア・北朝鮮が「攻めてきた」としても日本が圧倒できる軍事力を維持できると思っているのでしょう。

先の戦争ではノモンハンでソ連にコテンパンに蹂躙され、軍閥が割拠し貧弱な装備しか持たなかった中国との戦争すら終結できなかったこの国が、いったいどうやって今の中国やロシアに戦争で勝てるのか、また、これから少子化に向かい、社会保障もままならず、カロリーベース食糧自給率は50%を割り込むような状態で、最低賃金は韓国に抜かれる勢いのこの国の、どこにそんな強大な軍事力を維持できるカネがあるのか説明してもらいたいものです

(9)九段落目のコメントについて

最後に、九段落目のコメントについて検討します。

このコメント主は、私の『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』の記事に次のようなコメントをしています。

私は戦争したい訳ではありません。平和を望みます。素晴らしい日本という国を守るためにはどうすればいいかを思案しているだけで、あくまで著者様と対立したい訳ではありません。私は、平和主義や9条で対処しきれない時代が到来していると考えています。ですから、9条を改正する必要があると思っています。世界に真の平和が訪れることを切に願います。

出典:『”憲法9条に「攻めてきたら…」は成り立たない”の記事への批判の検証』のコメント欄

a)平和を望んでいるようには見えない

この点、このコメント主は

私は戦争したい訳ではありません。平和を望みます

と言いますが、このコメント主は前述したように

特効薬としての軍事力を保持する必要もある』(三段落目)

武力の保持も外交努力に含まれる』(五段落目)

『「軍事演習」(で)「外交」(を)「援助」(しても)「国連憲章に反しない」』(六段目)

などと述べて全体的に軍事力と「武力による威嚇」を肯定していますので、とても平和を望んでいるようには見えません。このコメント主の文章を読む限り、このコメント主が第二段落で述べた「深層心理」の中では戦争を肯定しているとしか思えませんが勘違いでしょうか。

b)「素晴らしい日本」とは何なのか

また

素晴らしい日本

の部分は、なにを指しているのかわかりません。日本の文化でしょうか、日本の歴史でしょうか、日本の自然でしょうか。

仮に日本の「歴史」が「素晴らしい」というのなら、先の戦争で日本軍が満州の万人抗や南京において行った大虐殺や、東アジアの広い地域で繰り返した性加害の「歴史」も素晴らしいと考えているのでしょうか。

仮に日本の「文化」が「素晴らしい」というなら、かつて「夜這い」と呼ばれて許容された強制性交や強制わいせつなどの慣習も「素晴らしい」と思っているのでしょうか。江戸時代の宿場には人身売買によって買われ性奴隷とされた「飯盛り女」と呼ばれたが女性がいましたが、そうした「文化」も「素晴らしい」と思っているのでしょうか。

私は日本の歴史が好きで最近は昭和史の戦争の本ばかり読んでいますが、先の戦争で日本軍が行った行為を「素晴らしい」と思ったことはありません。もちろん「夜這い」や「飯盛り女」を許容した文化も「素晴らしい」と思ったことはありません。

「素晴らしい日本」「ニッポンすごい」は憲法改正論者のテンプレですが、こうしたコメントを気軽に使いたがる人は、自分がいったい何を言っているのかよく考えた方が良いでしょう。

c)批判されたくなければ表現しないこと

このコメント主は

あくまで著者様と対立したい訳ではありません

と言いますが、このコメント主のコメントを読めばわかるように、私の記事を否定する趣旨の内容しかありません。

私の主張を否定するのであれば、当然それは思想的に私と「対立」することになるでしょう。「対立したい訳ではない」とはいったい何を言いたいのかわかりません。

これがもし、私から自分の意見を「批判されたくない」という趣旨なら、それはまちがっています。なぜなら、言論の自由・表現の自由があるからです。

この人が憲法9条の改正を望み、軍事力を利用した「外交援助」と称する恫喝を望むのは個人の自由ですから、それを主張したいのであれば自由に主張すればよいわけですが、しかしそれがいったん公の場に表現されたなら、公共の福祉の範囲で当然に批判を受けなければなりません。それが言論の自由です。

この点、このコメント主は私の記事にコメントを残すという形で「表現」したのですから、公共の福祉の範囲で私から批判されるのは当然です。

仮に批判されたくないというのなら、表現しないことです。表現しなければ、現行憲法で内心の自由は絶対的に保障されますから誰からも非難されることはありませんし、誰とも「対立」することもないでしょう。

d)平和主義の基本原理と9条を理解しているのですか?

このコメント主は

平和主義や9条で対処しきれない時代が到来していると考えています

と言いますが、これまで述べてきたように、このコメント主は憲法の平和主義の基本原理と9条を理解できていないと思いますが、なぜこのコメント主は平和主義の基本原理と9条を理解していないのに

平和主義や9条で対処しきれない時代が到来している

と分かるのでしょう。不思議です。

e)「願う」だけでは平和は訪れないと思いますが…

このコメント主は

世界に真の平和が訪れることを切に願います

と述べていますが、仮に「願う」だけで平和が訪れるなら軍隊はいらないので憲法改正も必要ない気がしますが…。

私は平和は「願う」だけでは訪れないと思っているので、4年ほど前から自分の残り少ない人生の時間を割いて憲法道程で記事を書いてきました。

そんな誰も読まないサイトを運営しても平和が訪れないのはもちろんわかっていますが、何もしない人よりはマシだと思っています。

このコメント主も「願う」だけではなく、戦争を回避し平和に繋がるような何らかの「行動」を起こしてはいかがでしょうか。

それが、現行憲法の前文が述べた「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ」の具現化につながると思いますので。

(10)最後に

以上、このコメント主のコメントは長いのでダラダラと長文を書き連ねてきましたが、全体的に私の文章を理解できていないように思います。

また、何を言いたいのかよくわからないコメントが散見されますが、このコメント主は

対立したい訳ではありません

と述べていますので、それはおそらく批判されたくないという意思が働いて曖昧な表現に変えた結果、何を言いたいのかよくわからない文章になってしまったのかもしれません。

コメントするのであれば、自分の頭の中を整理してからの方が良いのではないでしょうか。伝わらない文章でコメントしても、お互い時間の無駄だと思います。根拠が示されない部分も散見されますが、根拠を示していただかないと論じようがないのでそれも時間の無駄でしょう。

(1)の③の部分については憲法の平和主義の基本原理と9条を理解していない人にありがちな疑問なので仕方ありませんが、他のコメントは私の記事とリンク先の記事を読めばわかりそうなコメントばかりですので、もしかしたら読んでくれていないのかもしれません。

もし私の記事を読んだうえでこのコメントをしたというのであれば、それは私の文章力の限界です。

このコメント主は

素晴らしい日本という国を守るためにはどうすればいいかを思案して

いるそうですが、文章力のない私の記事にコメントを残してもその「思案」の結論は導けないと思いますので、どこの馬の骨か分からない私のような人間の運営するサイトにコメントを残す暇があるのなら、まともな教養のある専門家の下で憲法を勉強された方が良いと思います。

蛇足

なお、このコメント主のコメントが付けられた日と同日に、私がYouTubeに公開している『憲法9条は「どんな紛争でも話し合いで解決できる」と言ってるわけではないんですよ|YouTube』の動画にも似たようなコメントが付けられていました。

このコメント主のコメントとは全く関係がありませんが、その動画に付けられたコメントについては『「攻められない」国にできるのか?との9条批判について』の記事で論じていますので、興味がある方はそちらもご覧ください。

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