治安維持法(昭和3年(1928年)6月29日改正公布施行)

治安維持法(昭和3年(1928年)6月29日改正公布施行)

第1条

第1項

国体を変革することを目的として結社を組織したる者又は結社の役員その他指導者たる任務に従事したる者は死刑または無期もしくは5年以上の懲役もしくは禁固に処し、情を知りて結社に加入したる者または結社の目的遂行のためにする行為を為したる者は2年以上の有期の懲役または禁錮に処す。

第2項

私有財産制度を否認することを目的として結社を組織したる者、結社に加入したる者または結社の目的遂行のためにする行為を為したる者は10年以下の懲役または禁錮に処す。

第3項

前2項の未遂罪はこれを罰す。

第2条

前条第1項または第2項の目的をもってその目的たる事項の実行に関し協議を為したる者は7年以下の懲役または禁錮に処す。

第3条

第1条第1項または第2項の目的をもってその目的たる事項の実行を扇動したる者は7年以下の懲役または禁錮に処す。

第4条

第1条第1項又は第2項の目的をもって騒擾ソウジョウ、暴行その他生命、身体または財産に害を加ふべき犯罪を扇動したる者は10年以下の懲役または禁錮に処す。

第5条

第1条第1項第2項または前3条の罪を犯さしむることを目的として金品その他の財産上の利益を供与しまたはその申込もしくは約束を為したる者は5年以下の懲役または禁錮に処す。情を知りて供与を受けまたはその要求もしくは約束を為したる者また同じ。

第6条

前5条の罪を犯したる者自首したるときはその刑を減刑又は免除す。

第7条

本法は何人を問わず本法施行区域外において罪を犯したる者にまたこれを適用す。

附則

大正12年勅令第403号はこれを廃止す。

附則(昭和3年6月29日勅令第129号附則)

本令は公布の日よりこれを施行す。

参考文献
・刑事法学会 編纂 「改正治安維持法釈義:附・暴力行為等処罰法」 豊文社 24~102頁を基に作成|国会図書館(https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1438026
※読みやすくするため、旧仮名遣いを現代仮名遣いに変更するとともに一部句読点を追加し漢数字をアラビア数字に変更しています。一部ルビを挿入しています。原文は上記参考文献を参照してください。